養育費の金額(相場)

お子さまの将来や未来は、お金に換算することは出来ません。ですから養育費の金額によりお子さまの未来の選択肢が狭められうようなことはあってはならないと思います。
しかし現実問題として、養育費の金額をいくらにするかという問題は、一筋縄ではいかないシビアな大きな問題です。

このページでは特に、養育費の金額についてご説明したいと思います。

養育費に相場はある?

よく、養育費の相場として『子ども1人当たり月3万円』というものを耳にします。
実はこれ、根拠のある金額とは言えません。

では養育費の金額はどのように決められるのでしょうか。

養育費は子どもの人数によって単純に導かれるものではなく、一般的にはこの後ご説明する『養育費算定表』というものを使って取り決めるケースが一般的です。
しかし、『養育費算定表』どおりの金額でなければならないという訳では決してありませんから、必ずこれに従って養育費の金額を決めなければならないわけではありません。

養育費算定表

平成15年に「養育費算定表」というものが東京・大阪の各裁判官らによって作成され、以来多くのケースでこの算定表に基づいて養育費が決められています。

例:1
夫(養育費義務者)の年収300万円、妻(養育費権利者)の年収100万円の場合
① 中学生までのお子様1人で2~4万円、2人で4~6万円
② 高校生以上のお子様1人で4~6万円、2人で6~8万円
例:2
夫(養育費義務者)の年収500万円、妻(養育費権利者)の年収100万円の場合
① 中学生までのお子様1人で4~6万円、2人で6~8万円
② 高校生以上のお子様1人で6~8万円、2人で8~10万円
※金額はあくまで目安です。

算定表では、養育費義務者(養育費を支払う側)と養育費権利者(養育費を受取る側)の年収の差と、子どもの年齢及びその数によって養育費の額が概ね決められます。

「養育費算定表」についての問題

平成15年に「養育費算定表」が世に出て以来、離婚実務ではこの算定表に従い養育費を算定しているのが現状です。
しかし、その額の根拠には疑問点も多く、また各方面から問題点が指摘されています。
平成24年3月には日弁連から「養育費・婚姻費用の簡易算定方式・簡易算定表に対する意見書」というものが出されました。
大筋の内容としては、算定表で出される養育費の額は、子育ての実態にそぐわないばかりか、養育費義務者(養育費を支払う側)と養育費権利者(養育費をもらう側)との経済格差を助長しているとの指摘が為されています。

「養育費算定表」は便利なツールですが、柔軟性がなく、各家庭の細かな事情に十分対応できているかについては疑問が残ります。
願わくばこの算定表をあくまで目安と考え、お子様にとって本当に必要な金額を「親」としての観点から導き出して頂きたいと思います。

新しい算定表について

現在、離婚実務で広く用いられている養育費算定表(以下「算定表」)ですが、11月13日の朝日新聞に『最高裁の司法研修所が今よりも受取額が増える方向で新たな基準を策定する方針を固めた。』との記事が掲載されました。また同じく同日の読売新聞にも『最高裁の司法研修所が、初めて見直す研究報告をまとめることがわかった。(省略)月額で1万~2万円程度引き上げられるケースが多いとみられる。』と報じています。

詳細は12月23日に公表されるようですが、養育費を取り巻く環境にとってはとても大きなニュースです。

現行の養育費算定表は、導き出される金額があまりに低く、現実に即しておらず、またケースによっては不公平感が出るなど、諸問題が指摘されていました。
そこで日弁連(日本弁護士連合会)が、2016年に養育費に関する独自の算定方式を発表するなど様々な動きが出ていた中で、少なくとも離婚後に子どもを育てる親にとっては朗報と言えます。

ただ、日弁連が発表した算定方式に近い金額水準(現行の算定表の1.5倍程度)となるのかなどその詳細は不明で、12月23日の発表を待つしかありません。